摂食・嚥下障害|part 1 摂食・嚥下機能の基礎知識

目次

摂食・嚥下機能に関する解剖を復習しましょう!

STあゆみさん

言語聴覚士(ST)が訓練の際に特に注意して評価している部位は、
声帯、声門、喉頭蓋谷、梨状陥凹です。
ベッドサイドでは、声の質の評価が大事です。
「嚥下した後に話しかけてガラガラ声になっていないか(湿性嗄声)」「声門に痰や食物が入りかけていないか(喉頭侵入)」など、嚥下した後に患者さんに発声して頂き、食事前後に声が変化していないか、を見ています。
また、喉頭蓋谷や梨状陥凹に食べ物や水分が貯留し、気道へ落ち込んでいないか、頚部聴診をしたり、「食べ物が残っている感じがする」といった患者さんの自覚症状を伺って、評価しています。

dysphagia anatomy
摂食・嚥下機能に関わる解剖

摂食・嚥下のStage

NST専門療法士試験でも頻出なのでこの際覚えちゃいましょう!

Swallowing stage
摂食・嚥下のステージ

摂食・嚥下障害は、各ステージ別に見ると、以下のようなかたに起こりやすいです。

  • 先行期:認知症で注意障害があるかた。
  • 準備期:麻痺・廃用などで舌の筋力低下しているかた。
  • 口腔期:口をあけたまま嚥下するかたは、嚥下圧がかけられず送り込みができないので、梨状陥凹に残留しやすいです。
STあゆみさん

先行期・準備期・口腔期は、STがベッドサイドで評価できます。
咽頭期・食道期は、嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡検査(VE)、で評価します。

摂食・嚥下障害の要因

摂食・嚥下障害は、脳卒中以外にも起こり得ます。脳卒中以外の2大要因を確認しておきましょう。

身体の衰弱や加齢に伴う嚥下障害

  • 無症候性脳梗塞の存在
  • サルコペニア:咀嚼や嚥下に必要な筋量・筋力の低下
  • オーラルフレイル:嚥下反射の遅延、喉頭の位置の下垂、自歯の状態、義歯の不具合、唾液の性状と量の変化

薬剤性嚥下障害

  • 覚醒レベルや注意力を低下させる薬剤(抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬、抗てんかん薬、第1世代抗ヒスタミン薬など)➡先行期に影響を与える。
  • 唾液分泌を低下させる薬剤(抗コリン薬、抗うつ薬、第1世代抗ヒスタミン薬、利尿剤、抗悪性腫瘍薬など)➡準備期(咀嚼し唾液で食塊を形成する)に影響を与える。
  • 嚥下反射を減弱させる薬剤(抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬など)
  • 嚥下関連筋の作用を低下させる薬剤(筋弛緩薬、抗不安薬、睡眠薬など)➡口腔期~咽頭期に影響を与える。
Ns.れいかさん

外科病棟では、術後せん妄と嚥下障害を同時に認める高齢患者さんがいらっしゃいます。せん妄対策の薬がオーダーされている場合、嚥下障害は廃用が原因!と決めつけず、薬剤性嚥下障害も思い出しましょう。

drug induced delirium
symptoms of drug induced delirium
Ns.れいかさん

公益社団法人日本看護科学学会から、「看護ケアのための摂食嚥下時の誤嚥・咽頭残留アセスメントに関する診療ガイドライン」(編集:看護ケア開発・標準化委員会)が刊行され、PDF公開されています。STさんと共通言語で相談するのに有用かもしれません。

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