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栄養療法の鉄則

栄養療法の鉄則
目次

栄養療法の3大原則

  1. 長期絶食は悪! 腸がサボって免疫力が低下します。
  2. 栄養摂取は経腸ファースト! 腸を使えるか、常に考えましょう!
  3. エネルギー・タンパクの充足を目指しましょう!
われわれNSTは日々背中でメッセージを発信しています。

この原則はどんな病態でも当てはまります。しかし、積極的な栄養療法が常に正解ではありません。例外を理解しているのがプロってもんですね。

例外
  • 心肺停止蘇生後…栄養療法よりも循環動態の安定化が最優先ですね。
  • 予後が限られている緩和ケア中のかた…体格に基づいた計算値通りの栄養療法は、からだが受け付けず浮腫を招いたりでかえって有害となる可能性があり、個別対応が適切です。
NST委員長

終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン」がとても詳しいです。「第2章 背景知識」に栄養療法の基本がまとめられていて、これ読めば十分では、と思ってしまいました。ちなみに、輸液の定義は50ml以上からだそうです。トリビア!

栄養投与経路の選びかた

望ましい栄養の摂りかたは・・・

優先順位

第1位 経口摂取
第2位 人工的な経腸栄養
第3位 静脈栄養

しかし、「経腸ファーストだもんね」と何も考えずにいつも経腸栄養からスタートしていたら、チコちゃんに叱られます。

経腸栄養の禁忌を理解しているのがプロってもんですね。

経腸ファーストの会
経腸ファーストの会
経腸栄養の禁忌

腸そのものが理由…
腸閉塞
腸管麻痺(汎発性腹膜炎や腹部手術後など)
腸管虚血
活動性消化管出血

循環動態が理由…
循環不全、高用量カテコラミン投与中

ICU看護師やちくん

カテコラミン使用下は全例、経腸栄養禁忌というわけではありません。施設で基準を決めるのが良いかもです。ショック時の経腸栄養に注意が必要な理由は以下が詳しいです。

 ショック時には、重要臓器への血流、すなわち脳血流や冠血流を優先的に維持するために、腎や腸管、四肢の血管は収縮し、血流供給が低下している。昇圧剤投与時にはこれらの血管収縮はより顕著となる。一方で、腸管に栄養が投与されると、消化された栄養成分は粘膜から吸収され、門脈血流を介して肝へ到達し、蛋白合成やグリコーゲン貯留に利用されることから、経腸栄養投与により腸管血流は増加する。大量の輸液・輸血、カテコラミンなどの昇圧剤の大量投与により循環動態がようやく維持されているような状況では、経腸栄養投与により脳血流や冠血流が相対的に減少してショック症状が増悪するだけでなく、腸間膜動脈の血管攣縮が生じ、腸管壊死(非閉塞性腸間膜虚血症 non-occlusivemesenteric ischemia;NOMI)が引き起こされることが報告されている)。したがって、大量のカテコラミンや輸液・輸血を必要とする病態(敗血症性ショックや大量出血)では、腸管虚血・壊死のリスクを伴うため経腸栄養の投与は難しい。
 昇圧剤を投与している症例全てで経腸栄養が禁忌となるわけではない。カテコラミンを投与していても、徐々に減量できている場合、あるいは、少量投与で循環動態が安定している場合は、厳重な注意の下、経腸栄養を開始できる。しかし、“少量 ”がどの程度のカテコラミン投与量を意味しているか、具体的な報告はないため、施設毎に基準を決めておくべきと考えられる。

巽博臣、升田好樹、後藤京 経腸栄養開始時の条件;循環の安定性の評価、腸管機能評価、合併症対策 日本静脈経腸栄養学会雑誌 30(20):659-663:2015

ASPEN(アメリカの栄養学会)で提示されたものをちびガイドに載せてみました。JParenter Enteral Nutr, 26(1 Suppl):1SA-138SA, 2002

栄養投与経路の選択
栄養投与経路の選択

経口摂取できるかな?

入院患者さんが発生したら、循環動態が安定している場合、「経口摂取ができるかどうか」が栄養管理の問題、第1問目になりますね。嚥下機能に心配がある場合、当院では、STと摂食嚥下障害看護認定看護師監修の以下のフローチャートを使っています。

STおおかわくん

何となく絶食にしておこうっと、というような「実は不必要な絶食期間」を無くしたい想いで作りました。食形態アップの判断にも役立てて、エネルギー・タンパク充足をはかりましょう!

嚥下障害初期評価 水飲みテスト
嚥下障害の初期評価
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