前回からの続きです。口腔内の評価方法、歯ブラシの選びかたや義歯の取り扱いについても教わりました。
OHAT(Oral Health Assessment Tool)
口腔内の評価(口腔アセスメント)方法として、歯科医療者でなくても誰でも口のアセスメントができるような簡便な口腔スクリーニング用紙であるOHAT(Oral Health Assessment Tool)が紹介されました。
OHATは、Dr.Chalmersらによって作成され、日本では松尾浩一郎・東京医科歯科大学教授らによって日本語版に翻訳され紹介されました。
Chalmers JM, King PL, Spencer AJ, Wright FA, Carter KD: The oral health assessment tool-validity and reliability. Australian dental journal. 50:191-199. 2005.
松尾浩一郎, 中川量晴. 口腔アセスメントシートOral Health Assessment Tool日本語版(OHAT-J)の作成と信頼性,妥当性の検討. 障害者歯科. 37:1-7. 2016.
Oral Health Assessment Tool (OAHT)日本語版. Available from: https://www.ohcw-tmd.com/research
OHATは、口の問題8項目(口唇、舌、歯肉・粘膜、唾液、残存歯、義歯、口腔清掃、歯痛)を健全(0点)から病的(2点)までの3段階で評価します。
職種にかかわらず誰が評価しても、比較的均一な評価結果が得られることで、口腔内の問題を把握し適切なタイミングで歯科へ介入を依頼したり、患者さんの口腔の状態に合った標準化された口腔ケアプロトコルの運用がしやすくなることが期待されています。以下に東京医科歯科大学のOHATのサイトを示します。
誰でも役立つ!歯ブラシの選びかた
世の中にはいろいろな効能を謳った歯ブラシが店頭に並んでいますが、一般的にはどんなものが勧められるのでしょうか。歯科衛生士視点でのおススメを教わりました。
- 【毛の硬さ】歯ぐきの状態に合わせて選びましょう。
- 【大きさ】小さなものがおすすめ。親指大が目安。
- 【毛の状態】幅は3列、毛先は真っ直ぐにカットされているもの。
- 【買い替え時期】毛が広がった歯ブラシは汚れを落とす効率が悪くなるため、広がったら交換しましょう。衛生的なことも考えると1ヶ月で交換することをお勧めします。
今日から役立つ知識ですね。倣います。
義歯の取り扱い上の注意点
義歯の取り扱いについても教わりました。注意点は…
- 保管する時はお水に入れましょう。
- 乾燥させると割れたり、ひびが入る原因になります。
- 熱湯につけたりするのは変形の原因になります。水かぬるま湯につけてください。
- 歯磨き粉は使用しないでください。
ほかに、口腔ケアの際に、開口を拒否する患者の対応のコツも教わりました。
手を握る。→肩をさわる。揉む。→首筋を触る。→両頬に手のひらをあて、顔を包み込むようにする。→口の周りをマッサージをする。
この順でアプローチすると、たいがいのかたは開口してくださるそうです。
辻先生の講義その2をご覧ください。
病院に来る前に何とかできないか?|歯科健診の利用
平成元年に厚生労働省と日本歯科医師会が提唱した「8020運動」は、「80」は平均寿命の80歳、「20」は自分の歯で食べられるのに必要な歯の数を意味し、生涯、自分の歯で食事ができることを目指しています。そのためには定期的な歯の健康状態の確認が重要であり、市町村事業として行う成人歯科健診の利用も一法です。
「8020」「オーラルフレイル」については、日本歯科医師会の啓発活動がスゴイです。「予防山」で修行を積む「よ坊さん」という、ゆるキャラが設定されていたんですね。