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ROAGによる入院時口腔スクリーニング実施に向けて

口腔スクリーニング ROAG 虎の巻

「抗菌薬投与で炎症は改善したし、後はしっかり食べて元気になってもらって退院だな。」と思いきや口腔が残念な状態で普通食は無理でした。「入院時に気が付いていればもう少し早く手が打てたのに、もう2週間も経っているよ・・・。」などという経験はありませんか?
当院ではこれまで口腔スクリーニングが定着しておらず、口腔の問題点を早期に抽出し介入する文化を構築するために、NSTやSTがROAGをルーチン化してみたのは、2023年4月からでした。NSTやSTが関わった患者さんのみの評価ですが、8割以上のかたに口腔の問題があることがわかっています。経口摂取できないかたのほうが問題が多いようです。今後は口腔の大事さをNSTがいっそう啓発し、医師や看護師が自発的に患者さんの口腔を入院のなるべく早期に評価し、問題の抽出と対処をあたりまえに行う世界を目指します!

目次

ROAG(Rivised Oral Assessment Guide)とは

Eilersらにより、骨移植や放射線治療、化学療法の治療を受ける患者に対して開発されたOral Assessment Guide
(OAG)を、高齢者向けに改訂されたものがROAGです。口腔機能評価に対する多職種間での信頼性と妥当性が示されています。

  • 声、嚥下、口唇、歯・義歯、粘膜、歯肉、舌、唾液の8つの項目を観察します。
  • 各項目をそれぞれ、良好(スコア1)、中等度障害(スコア2)、重度障害(スコア3)に点数化します。
  • 総スコア9-12点:軽度~中等度の口腔機能障害あり、総スコア13-24点:重度の口腔機能障害ありと判定します。

観察には明るいライトが必須ですよ!

各観察項目の解説

2024年10月、宮城NST研究会特別講演に熊本リハビリテーション病院歯科衛生士の白石愛先生をお招きした際、前日に当院にお越し頂き、ROAG評価方法のご指導を仰ぎました。その時の内容をまとめます。難しく考えず主観で評価してみましょう。

声がけして、コミュニケーション能力、湿性嗄声の有無、発声機能の評価を見る。意識障害などでコミュニケーションがとれない、のどが痛くて声が出ない、はスコア3。

嚥下

正常の嚥下でなければスコア2、唾液の嚥下も難しければスコア3。STや主治医につなげるのが大事。

口唇

脱水、微量元素不足など全身と関連のある所見。潰瘍や出血があればスコア3。口角炎にも留意。脱水の是正、保湿(エアコンの向き、長時間の開口による乾燥にはマスク装着)につなげる。

歯・義歯

汚れ(歯垢、食物残渣)が全体的はスコア3、部分的はスコア2。う蝕はスコア2以上。

粘膜

貧血、ビタミン不足、口腔粘膜疾患、カンジダ(免疫低下)に留意。明らかな潰瘍や水疱、厚い白苔、著明な発赤はスコア3で診察を依頼しましょう。

歯肉

歯肉出血はスコア3。浮腫や発赤はスコア2。歯肉に炎症があっても丁寧にブラシを当てることで改善が期待できるのでスコア化後に対策を。

非常に厚い白苔や潰瘍はスコア3、乾燥や乳頭消失、色調変化はスコア2。舌の動きが弱まると汚れがたまりやすいため、湿潤した状態でブラシを当てましょう。

唾液

口腔粘膜をグローブをはめた指で撫でて滑りが良ければスコア1、乾燥し固着する場合はスコア3。粘膜の滑りが良くても舌が乾燥していればスコア2。

口腔スクリーニングは種々の方法が提唱されていますが、点数化すること自体が大事ではなく、どのツールを用いても、要は多職種が共通言語を扱い、病棟でどのくらい悪い患者さんがいるのか、その方達にどう介入していくのか、多職種で把握し対処につなげることが大事であると強調されておりました。

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