2025年5月17日、地元歯科医とNSTのコラボで行った市民公開講座「歯科医と栄養サポートチームが伝えたいオーラルフレイル予防のススメ」のレポート第2話、管理栄養士からのお話です。
「かむ力・飲み込む力」が不足すると、どんな食事に?

「かむ力、飲み込む力」がないと、食事の際に上記のような自覚症状が現れます。下のほうに行くほど症状としては大変な状態と言えます。病院では、このような症状があるかたに合わせて、できる限り安全に食事をして頂けるよう工夫した内容を提供しています。
やわらか食

主食はおかゆかやわらか飯、おかずは歯茎でつぶせるもの、水分はむせるならとろみをつけます。見た目が一般の食事に近いため、見た目による食欲減退は少ない印象です。
きざみ食

主食はおかゆ、おかずは2~3㎜まできざみ、とろみをつける、水分はむせるならとろみをつけています。やわらか食よりはおかずが何からできているのかわかりにくいですね…。
ペースト食

主食はかゆをミキサーにかけたもの、おかずはペースト状(粒無し)、水分はとろみをつけています。ますます何で作られているのかわかりにくいですね。
かむ力、飲み込む力を保つためには何を食べたら良いの?
「かむ力、飲み込む力が大事なのはわかったけど、では、歯の栄養になるカルシウムを摂ればOK?」
ではありません。特別な食材が必要なわけではなく、日々バランスの取れた食事を心がける のが大事です。お肉、お魚、野菜、果物、穀物など、様々な種類の食品を偏りなく食べることで、必要な栄養素をしっかり摂り、口周りの筋肉もバランス良く使うことができます。

5大栄養素をそろえるには「主食」+「主菜」+「副菜」をそろえましょう!

食事にまさるサプリメントはありません!
バランスのとれた食卓の食事と、病院で使用する経腸栄養剤を比べると、同じカロリーで比較した場合、糖質、タンパク質は経腸栄養剤でもイイ線行きますが、脂質が多く、食物繊維はほとんど不足します。バランスのとれた食事がすべてにおいて最強なんです。

無理せず栄養バランスをとるチョイ足しの工夫
そうは言っても、毎日栄養バランスを考えた食事を準備するのは大変ですよね。特に忙しい時や、ちょっと手抜きをしたい時もあると思います。そんな時でも、少しの工夫で食事の質を上げることができます。例えば、市販のお惣菜や冷凍食品、お弁当などを利用する際は、野菜が多めのものを選んだり、一品プラスして栄養バランスを整えたりするのがおすすめです。最近では、栄養バランスに配慮した商品もたくさん出ていますので、上手に活用しましょう。






まとめ:毎日の小さな積み重ねが未来の健康を作る
「かむ力・飲み込む力」を維持することは、単に食事を美味しく食べられるだけでなく、誤嚥を防ぎ、低栄養を予防し、全身の健康を保つことにも繋がります。完璧な食事を毎日続けるのは大変かもしれませんが、ご紹介したような小さな工夫を生活に取り入れてみることから始めてみましょう!