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「元気の秘訣はお口から!歯科医と栄養サポートチームが伝えたいオーラルフレイル予防のススメ」市民公開講座レポート1~NST医師編

2025年5月17日、塩釜市公民館にて、「歯科医と栄養サポートチームが伝えたいオーラルフレイル予防のススメ」と題し、宮城県歯科医師会理事の相澤俊彦先生と坂総合病院NSTのコラボで市民公開講座を開催する、貴重な機会を頂きました。早速レポートいたします。

目次

今日、病院栄養サポートチームがここにいる意味は?

「お口の健康?坂総合病院には歯科がないのに何で?しかも、NSTって、あんたたち何者?」
私が坂病院関係者ではない近所の住民でしたらそう思います。まず導入として、ご参加の市民の皆様に、NHK朝の連ドラにも取り上げられるようになったNSTの正体を明かし、私たちが口腔を意識するようになったストーリーを紹介しました。

NST回診でよくある残念な経験談

闘病から回復!さてこれから食べて今までの体力消耗を挽回しましょう!と思ったら実は歯がスカスカ。
せっかく義歯を持っていたけど合わないので、放置していたことが判明。家族にとって来てもらいましたがやっぱり全然合わず。病気が治ってもおいしいものは食べられずペースト食しか提供できません。これでは食欲がわきません。
入院してからNSTが初めて口の中を見るのでは遅すぎる。
オーラルフレイルの予防にシフトしなければ、皆さんに「元気の秘訣はお口から、と伝えなきゃ!」と思いました(おせっかい)。

病院広報部門の支えで、地域の歯科の先生を特別講演にお招きして、オーラルフレイル予防を主旨とした今回の講演会を迎えることができました。

お口にまつわる仰天事実3選

最近オーラルフレイルについて学ぶ中で筆者も知って驚愕した「お口にまつわる仰天事実3選」をご紹介しました。

ウンチと歯垢はどっちが汚ない?

なんと歯垢の圧勝のようです。

爆食い姉さんと絶食中の患者さん、どっちの口が汚い?

昨年の宮城NST研究会特別講演の中で、兵庫医科大学歯科口腔外科学の岸本教授より、「口腔は自浄性があるため、食べてない口が意外に汚い」「歯磨きしている野生動物は見たことがない」と教わりました。爆食い姉さんのお口のほうがキレイと予想されます。

歯の本数は転びやすさに関係がある?

20歯以上の群に比較し19歯以下で義歯未使用の群は、転倒リスクが2.5倍であったとする報告があり、オーラルフレイル予防は要介護の予防でもあることがわかりますね。

お口の問題から始まるコワーい全身疾患

感染性心内膜炎

まず最大級に重症な疾患として、齲歯や歯周病の放置でお口の細菌が血流に侵入して心臓に到達し、疣贅となり全身にばらまかれる感染性心内膜炎が挙げられます。

誤嚥性肺炎、膿胸

絶食であっても細菌塊が付着した剥離上皮の誤嚥でも起こる誤嚥性肺炎、さらに気道や血流いずれからでも口腔内の細菌が侵入して起こりうる膿胸も、治療が長引く疾患です。

特に胃切除後のかたの食餌性腸閉塞

噛めないことによる弊害の代表は、腸閉塞が挙げられます。本来、嚥下された食物は胃の中でいったん受け止められ、ある程度消化してから出口が開いて十二指腸へ流れていきますが、胃切除後のかたはこの働きが失われます。歯の本数が少なく咀嚼の力が十分でない場合、飲み込んだ食物はそのままの形で流れて行きます。特に胃全摘後のかたにおいては、もともと径が細い小腸へそのまま到達すると大変詰まりやすく、食物のせいで腸閉塞になりやすいです。若くて歯が十分あった時代に手術を受け平気に過ごしていたかたが、老年になってから初めて腸閉塞で入院する場合は、実は年齢を重ねて歯の本数が減り十分に噛めなくなっていた、という原因があり得ます。

歯周病と全身疾患

上述した感染症のようにお口の細菌が直接的に悪さするわけではありませんが、歯周病は、動脈硬化、認知症、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、早産、低体重児出産、がん、バージャー病、骨粗鬆症などとの関連があると言われています。

以上、NST医師からのメッセージとして、「お口の問題はお口のみにとどまらず、からだの問題なんですよ!」ということをお伝えいたしました。

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